用語集

プログラムで使う用語を、やさしい言葉で説明します。

はじめてですか? まずは最初のレッスンを読んでみてください。アカウントは不要です。

AIの基本概念

Agent
目標に向かって、自分で試行錯誤するAIです。状況に合わせてツールを選び、やり方を変えながら進めます。
AGI
汎用人工知能のことです。ほとんどの作業を人と同じくらいこなせる、まだ実現していない理論上のAIです。盛んに議論されていますが、現時点では存在しません。
Closed model
提供元のAPIかアプリを通してしか使えない、中身が公開されていないモデルです。
Coding agent
手を持ったAIアシスタントです。ファイルを読み、書き換え、コマンドを走らせ、その結果を見ながら次の手を決めます。
Compaction
会話の古い部分を要約し、コンテキストウィンドウに空きを作ることです。
Completion / response
プロンプトを送ったあとに、モデルから返ってくる内容のことです。
Context
いまモデルが参照できるものすべてです。あなたのプロンプト、それまでの会話、添付したファイル、システム側から追加されたメモも含みます。
Context rot
ループの失敗の一つです。やりとりの履歴が伸び続けて、大事なことが埋もれてしまう状態です。古いやりとりを要約し、目的を言い直せば直ります。
Context window
モデルが一度に扱えるトークン数の上限です。あなたのプロンプトと、モデルがすでに読んだものをすべて合わせて数えます。
Embedding
文章を数値に置き換えたものです。言葉がぴったり一致していなくても、意味で探せるようになります。
Embedding models
文章を数値に変えて、意味で検索できるようにするモデルです。手元の資料につないだアシスタントの裏側で働いています。
Fine-tuning
元になるモデルに、特定の用途に合わせた追加学習を施すことです。
Frontier model
その提供元が提供する、最大級かつ最新で、最も高性能なモデルです。
Generation
RAGの最後にあたる生成の工程です。検索で見つけた断片をプロンプトに入れ、それを根拠にAIが回答します。
Gradient descent
モデル学習の中心となる手法です。次に来る語をうまく予測できるようになるまで、内部にある何十億ものパラメーターを少しずつ調整します。
Inference
学習済みのモデルを実際に動かして、出力を得る工程です。プロンプトを送ると、固定されたパラメーターを使って出力が生成されます。
LLM
大規模言語モデルのことです。ChatGPT、Gemini、Claudeのようなチャットアシスタントを支える技術です。
Long context
アシスタントが1つの会話で扱える情報量が多いことです。長いコンテキストに対応したモデルなら、小さな書棚1つ分ほどの情報をまとめて扱えます。
MCP (Model Context Protocol)
AIアプリを外部のツール、データ、サービスにつなぐための共通規格です。AIにとってのUSBのようなものです。
Memory
あなたについての情報を選んで記憶し、次回以降の会話でコンテキストに加えてくれる機能です。
Multimodal
文章だけでなく画像も扱え、ものによっては音声や動画まで扱えるモデルです。
Open weights
パラメータをダウンロードして、自分の環境で動かせるモデルです。
RAG (Retrieval-Augmented Generation)
まず手元の資料やウェブを検索して、見つかったものを根拠にモデルが答える仕組みです。
Session
ひと続きの会話のことです。新しいチャットは、会話のコンテキストがない状態から始まります。
Subagent
脇の作業を引き受ける、自分専用のコンテキストウィンドウを持つ別のエージェントです。検索やレビューのような作業をこなし、要約だけを返します。メインの会話は見えないので、その会話の中でだけ伝えたルールは、任せるときの指示書でもう一度書く必要があります。
System prompt
会話の最初に、AIの役割と守るルールを決めておく指示です。
Token
アシスタントが読み書きする、文章の小さなまとまりです。英語では1トークンが平均して単語の約4分の3に相当し、文章の長さや利用料金はトークン数で決まります。
Tool
文章を書く以外のことをAIにさせるための、つなぎ役です。検索する、計算する、別のシステムに触る、といった仕事を任せられます。
Training
膨大な文章からパターンを学ばせる、大きな費用のかかる一度きりの工程です。通常はモデルの提供元が行い、利用者が行うものではありません。
Training cutoff
モデルが学習に使った情報の期限です。この日よりあとに起きた出来事は、こちらから情報を与えないかぎり分かりません。
音声モデル
話し言葉を文字に変えたり、文字から音声を作ったりするモデルです。文字起こしのWhisperや、音声合成のElevenLabsなどがあります。
拡張LLM
検索、ツール、メモリーを足したモデル呼び出しです。Anthropicは、これをすべてのワークフローパターンとエージェントの基本の部品として扱っています。
画像モデル
文章による説明から画像を作るモデルです。DALL-E、Midjourney、Stable Diffusionなどがあります。
キャリブレーションされた確率
答えが実際に当たる割合と一致する確率のことです。約0.8で出た答えを全部集めると、そのうち約80%が正解になります。表しているのは答えの集まりについての傾向で、1つの答えについてではありません。頼れるのは、ラベルを付けた自分の仕事で確かめてからです。
ソースコーパス
RAGが根拠を探す情報源の集まりです。検索対象となるウェブページ、資料、契約書、過去の問い合わせなどを指します。
次の単語の予測
LLMの仕組みの核心です。いちばんありそうな次の単語を予測し、それを延々と繰り返して、使える答えを組み立てます。
判断モデル
文章を書く代わりに、あなたが決めた選択肢から1つを選んで質問に答えるモデルです。選択肢ごとの確率も返します。JevやLayaがその例です。
無人で動くエージェント
途中で誰も見守らず、質問にも答えない状態で、タスクを最初から最後まで実行するエージェントです。人が目にするのは結果だけなので、見守る役目は、確認と環境が担う必要があります。

プロンプティングと技法

4要素のフレームワーク
安定したプロンプトを作るための型です。Role、Context、Request、Formatの4つ(CRAFTやRCTFとも呼ばれます)。
AIのステップ
入力によって判断の中身が変わるステップです。AIに使う予算は、ここに寄せてください。
Chain (prompt chaining)
前の出力を次の入力にする、プロンプトの連なりです。各ステージを実行するのはAIで、ステージ同士のつながりは人が管理します。
Chain of thought
答えを出す前に、順を追って考えさせるやり方です。何段階も踏む問題で正確さが上がります。
Chunking
資料を検索しやすい小さな断片に分けることです。目安は256〜512トークンで、前後の断片を10〜20%ほど重ねます。
Few-shot
求める入力と出力の組み合わせを、少数の例としてモデルに示す方法です。出力が安定しやすくなります。
Meta-prompting
自分のプロンプトをAIに評価させ、よりよい形に書き直させる方法です。出力が安定しやすくなります。
Persona
モデルに役を与えて、出力の基準を上げるやり方です。答え方は変わりますが、内容が正しいかどうかは変わりません。
Persona prompts
ステージごとに役を与えます(パラリーガル、コンプライアンス担当など)。使う言葉、踏み込みの深さ、口調が変わります。
Progressive disclosure
常に読み込む情報は少量にとどめ、残りは関係するときだけ読み込む設計です。常時載るレイヤーを小さく保てます。
Prompt
アシスタントに入力する指示や質問です。うまく依頼する技術は、プロンプティングと呼ばれます。
Retrieval
質問に合う情報の断片を選び出す、RAGの検索工程です。本番では、意味検索とキーワード検索を組み合わせ、候補を関連度順に並べ直す構成が一般的です。
Structured outputs
JSONや表のように、形をはっきり指定して出させることです。読みやすく、ほかのツールでもそのまま使えます。
Zero-shot
例を見せずに、そのまま頼むやり方です。よく知られた簡単な作業なら、これで十分です。
受け渡し(継ぎ目)
あるステップの出力が、次のステップの入力になる瞬間です。チェーンが崩れるのはたいていここなので、確認もここに置きます。
往復して仕上げる
AIを会話として扱い、何度かやりとりして出力をよくしていくやり方です。一発目で完成させようとしません。
オーケストレーター・ワーカー
中心のモデル呼び出しが、動きながらタスクをサブタスクに分け、ワーカーの呼び出しに渡して、その結果をまとめるワークフローパターンです。サブタスクを前もって挙げられないときに使います。
禁止の指定
やってほしくないことを伝えることです。モデルの初期設定に逆らう形になり、ほしいものを説明するより簡単なことも多いです。
計画してから実行する
先に段取りと足りない情報を出させて、そのあとで成果物を作らせます。抜けを推測で埋められずに済みます。
決定論的か、判断か
決定論的なステップは、いつ走らせても同じ答えになります。判断のステップは、答えが変わっていいステップです。どちらなのかをステージごとに決めておきます。
決定論的なステップ
決まった手順や規則で処理できるステップです。数式、データベースの属性、スクリプトなどが当てはまります。
構造化したメモ取り
エージェントに、作業しながらコンテキストウィンドウの外のファイルにメモを書かせ、あとで読み返させることです。ToDoリストや調査結果のファイルがその例です。メモはもともとウィンドウの中にないので、コンパクションのあとも残ります。
答えの書き出しを与える
AIの答えの冒頭を、こちらが書いてしまうやり方です。形式と口調がそこで固まり、ぶれが減ります。
コンテキストエンジニアリング
プロンプトだけでなく、作業中のモデルのコンテキストに届くものすべてを選ぶことです。指示、ファイル、ツールの説明、ツールの結果、履歴が含まれます。目指すのは、正しい行動につながる、役に立つ情報のいちばん小さな組み合わせです。
ゴールデンルール
AIには、できる限り多くのコンテキストを渡すという原則です。入力がよくなれば、出力も安定してよくなります。
指示の抽象度
指針をどのくらいの細かさで書くか、その度合いです。低すぎると、もろい場合分けのルールの羅列になり、高すぎると漠然とした願望になります。ちょうどよい抽象度では、目標、判断の分かれ目、越えてはならない一線を、それぞれの理由とともに書きます。
出力の形式
途中の出力を、表、JSON、決まった項目など、機械が読み取れる形にそろえることです。自由形式の文章はチェーンを壊す原因になります。
常時載るレイヤー
毎回必ず読み込ませる、ごく少量の情報です。絶対に守る制約、組織内の決まり、現在進めている作業などが含まれます。
ステージに分けるプロンプティング
作業を1つの大きなプロンプトにせず、複数のステージに分ける方法です。各ステージは、次のステージでそのまま使える、名前の付いた出力を返します。
必要なときに読み込む
スキーマ、仕様、手順書、資料は、その作業で必要になったときだけ、名前を指して取ってきます。
評価者・最適化者
1つのモデル呼び出しが書き、別の呼び出しが明確な基準に照らして結果を採点し、合格するか上限に達するまで、フィードバックをループで返し続けるワークフローパターンです。
プロセスの分解
複数のチームをまたぐ業務をステップに割り、どれをAIに任せ、どれを決定論的な処理にし、どれを人がやるかを決めます。
プロンプトの記録
うまくいったプロンプトを保存しておく場所です。積み重ねると、自分の仕事に使えるテンプレート集になります。
並列化
モデル呼び出しを同時に動かすワークフローパターンです。タスクの独立した部分を並べて動かす形(セクション分け)と、同じタスクを何回か動かして答えを比べる形(投票)があります。
役割を重ねる
同じものを複数の専門家の目で順に見させて、最後に1つの結論へまとめさせるやり方です。
ルーティング
1つのステップが入力を種類ごとに振り分け、その種類のために作ったステップに送るワークフローパターンです。たとえば、請求、技術、アカウントのメールを振り分けます。

作って世に出す

50件ルール
自動で任せきりにする前に、実際の入力50件でエージェントを試すというルールです。起きた失敗はすべて分類します。
Agent loop
エージェントが動いているあいだの繰り返しです。コンテキストを読み、次の行動を決め、ツールを呼び、その結果を読んでまた判断します。作業が終わるまで続きます。
Agentic loop
コーディングエージェントが試行錯誤で目標にたどり着けるように組み立てたタスクです。はっきりした目標、合格か不合格かを告げる確認、変更を試すためのコマンド、承認をオフにして動かせる安全な場所がそろっています。どのエージェントもループで動きますが、エージェント型ループは、あなたが設計するループです。
AGENTS.md
ツールをまたいで通じる、標準の指示ファイルです。うちの決まりはここに書いて、ここを唯一の正にします。
Branch
同じrepoの中で、作業を並行して進めるための分岐です。本流に影響を与えずに変更を試せます。
Changelog
指示書の末尾に残す短い記録です。版ごとに何を変えたか書いておくと、あとから見た人にも経緯が伝わります。
Checkout
作業フォルダの中身を、特定のブランチやコミットの状態に切り替えることです。同じrepoでも、表示される内容が変わります。
CLAUDE.md
Claude Codeが読む指示ファイルです。プロジェクト直下に置くほか、全体に適用する場合は~/.claudeに置きます。AGENTS.mdを参照するだけの内容にすることも多いです。
Code owners (CODEOWNERS)
リポジトリのどのパスを誰が受け持つかを書いたファイルです。対応するルールを有効にすると、コードオーナーのいるファイルへの変更は、そのオーナーの誰かが承認しないとマージできません。
Commit
ひとまとまりの変更を履歴に保存したものです。何を、なぜ変えたかを示すメッセージが付きます。repoの履歴はコミットの積み重ねです。
Context budget
コンテキストウィンドウを限りある予算と考え、情報量を意図的に配分することです。回答を左右する情報に最も多く割り当てます。
Deferred tools
最初はツール名だけを示し、必要になったときにモデルが詳しい定義を読み込む仕組みです。コンテキストを小さく保てます。
Diff
ファイルで何が変わったかを1行ずつ並べたものです。削除された行と追加された行が示されます。ステップごとに差分を読めば、エージェントが何をしたかを正確に把握できます。
DORA metrics
Google Cloudが運営する研究プログラムDORAによる、ソフトウェアのデリバリーを測る5つの指標です。変更のリードタイム、デプロイの頻度、デプロイ失敗からの復旧時間はスループットを示し、変更失敗率とデプロイの手戻り率は不安定さを示します。
Edge cases
正しいけれど珍しい入力です。項目が抜けているとき、内容が矛盾するとき、機微な情報が来たときにどうするかを、指示書に書いておきます。
Forking
誰かが共有したエージェントやアシスタントを複製し、自分向けに変更することです。元の作者が積み上げた知見も引き継げます。
Format drift
指定した形と少しだけ違う形で、AIが返してくることです。厳密な形を前提にしていた後ろの処理が、そこで壊れます。
Frontmatter
ファイルのいちばん先頭に置く、小さなYAMLの塊です。そのファイル自身についての情報が入ります。
Git bisect
バグが最初に入り込んだコミットを見つけるgitのコマンドです。正常なコミットと問題のあるコミットに印を付けてテストを渡すと、履歴を半分ずつに絞り込んで探します。コーディングエージェントは、これを代わりに実行するのが得意です。
Harness
モデルの周りに組み立てる仕組み全体です。モデルに渡すコンテキスト、呼び出せるツール、作業を進めるループが含まれます。
Headless run
誰もキーボードの前にいない状態で、スクリプトからコーディングエージェントを動かすヘッドレス実行です。claude -p や codex exec がその例です。許可するツール、サンドボックス、ターン数と費用の上限は、すべて始める前に決めておく必要があります。
Idempotency
同じ入力で2回実行しても安全である性質です。同じ結果になるか、2回目の処理を何もせずに終えられるエージェントは、idempotentだといえます。
Lockfile
プロジェクトがインストールするすべてのパッケージの、正確なバージョンを記録するファイルです。依存関係が連れてくるパッケージも含みます。差分に出るロックファイルの変更を見れば、新しいパッケージが持ち込むものがすべて分かります。
Merge
ブランチで仕上げた変更を、本流へ取り込むことです。
Merge queue
プルリクエストをマージする前に、最新のmainブランチと、その前に並んでいるプルリクエストと合わせてテストするキューです。単独では通る変更同士が、組み合わさってブランチを壊すことを防ぎます。
OpenTelemetry (OTel)
プログラムから、自分で選んだコレクターに、メトリクス、ログ、トレースを送るためのオープンな標準です。エージェントのツールは、これを使って、実行ごとのトークン、費用、ツール呼び出しを報告します。
Output schema
出力に含める項目と、それぞれのデータ型を明確に記した定義です。プロンプトを書く前に決めます。
pass@k(少なくとも1回)
k回の試行で、少なくとも1回は合格したタスクの割合です。エージェントがそのタスクをこなせるかどうかを示しますが、毎回こなせるかどうかは示しません。
pass^k(毎回)
k回の試行のすべてで合格したタスクの割合です。kが大きくなるほど下がり、毎回同じ結果が期待される場面で、いちばん重要になります。
Pull request
レビューに出すためにまとめたコミットの集まりです。承認されると本流へ取り込まれます。
Ralph loop
1つのコーディングエージェントを無人で動かすやり方です。スクリプトが、同じプロンプト、計画ファイル、仕様を何度も送ります。どの周回もまっさらなコンテキストで始まり、項目を1つこなし、確認を実行して、コミットします。
Rebase
ブランチのコミットを、最新のmainブランチの上に積み直すことです。最後の確認の直前にリベースすれば、確認は、実際にマージされるコードをテストすることになります。
Recall
与えたルールに、モデルがどれだけ確実に従えるかを表します。長いコンテキストの中央に埋もれたルールは、見落とされやすくなります。
Red/green TDD
テストを先に書く開発です。テストを書いて実行し、落ちるのを見て(レッド)、通るまでコードを変えます(グリーン)。先に落ちるのを見ることで、そのテストが、もともと動いていた何かではなく、変更を確かめていると分かります。コーディングエージェントには、たいてい「red/green TDD」と頼むだけで十分です。
Repository (repo)
変更履歴を持つプロジェクトのフォルダです。ファイル、テスト、すべての変更記録が残るため、過去の状態をたどれます。
Scope judge
作業項目と、エージェントがそのために作った差分だけを読み、項目を超える変更を却下するモデルです。ビルドとテストの確認のあとに動きます。却下率を追い、判定の一部を手で確かめてください。
Skill
アシスタントに1つの仕事をきちんと覚えさせる、手順と参考資料の束です。次からどの会話でも使えます。
SKILL.md
skillに必ず1つ必要なファイルです。先頭に名前と説明を記したYAMLフロントマターを置き、その下に手順を書きます。
Stop hook
エージェントが応答を終えるたびに動き、エージェントを作業に戻せるフックです。たとえば、テストがまだ失敗しているあいだは戻します。ガードが必要で、決して通らない確認でもループし続けず、実行が終わるようにしておきます。
Terminal (shell)
ボタンを押す代わりに、文字でコマンドを入力して操作する画面です。コーディングエージェントは、ここでコマンドを実行します。
Test suite
プロジェクト自身の点検です。1つのコマンドで走り、合格か失敗かを返します。
Triggers
エージェントが動き始めるきっかけです。スケジュール、利用者からの指示、データベースに行が追加されたといった出来事があります。
Verifier
ビルドやテストの実行のように、エージェントが実行できても自分では制御できない確認で、結果を数行で返します。ファクトリーでは、検証ツールはプルリクエストが開く前に動き、失敗したらプルリクエストは開きません。
Vibe coding
ほしいものを普通の言葉で説明し、コードはAIに書かせて、感覚で舵を切りながら作るやり方です。
Worktree
同じrepoから作る、もう1つの作業用コピーです。別のフォルダで別のブランチを使うため、2つの作業を干渉させずに進められます。
YAML
ラベル付きの行で書く設定です(例:name: pdf-export)。コードではなく、記入用紙のつもりで読んでください。
アーキテクチャの判断記録(ADR)
重要な判断を1つ記録する、リポジトリの中の短いファイルです。背景、判断、状態、その結果を書きます。コードがなぜ今の形なのかを、人にもコーディングエージェントにも伝えるので、どちらもそれをうのみにしたり、むやみに変えたりせずに済みます。
依存関係の更新
プロジェクトの依存関係の1つを、新しいバージョンに上げる変更です。バージョン番号を変えるだけの更新は単純なスクリプトに向いています。破壊的変更を含む更新ではコードの変更も必要で、プロジェクトが今もビルドでき、テストに通ることの確認も要ります。
インフラ(ツールとの違い)
多くの人が頼りにしている仕組みです。その規模になったら、名前のついた担当者、文書化された動作、HITL gate、保守の計画が要ります。
受付フォーム
人が作業項目を起票するときに記入するフォームやテンプレートです。準備完了の定義の1行ごとに欄が1つあり、大事な欄は必須にします。欄を飛ばしにくくするだけで、飛ばせなくするわけではないので、トリアージでもすべての項目を確かめ直します。GitHubでは、issueフォームがこれに当たります。
エージェント型エンジニアリング
コーディングエージェントを使ってソフトウェアを開発しながら、結果への説明責任はエンジニアが負い続けるやり方です。エンジニアが目標を決め、コードと証拠を確かめ、何を本番に出すかを決めます。Simon Willisonは、誰もコードを見ないvibe codingの反対を指す言葉として使っています。
エージェント型の手動テスト
コーディングエージェントに、自分の変更を人と同じように使わせることです。コマンドラインから関数を呼ぶ、curlでAPIを呼ぶ、本物のブラウザーでページを開く、といったやり方で、コマンドごとにその出力を記録させます。通ったテストが見逃すものを見つけられます。
黄金原則
コードがいつもどうなっているべきかについての、はっきりした立場を取った機械的なルールで、リポジトリに書いておきます。定期的に動くエージェントが、そこから外れた箇所を見つけ、直すための小さなプルリクエストを開けるようにします。
回帰評価
エージェントがすでにこなせているタスクの評価で、ほぼ毎回合格するはずのものです。合格率が下がったら何かが壊れたということで、モデル、指示、ツールを変えたあとによく起きます。
隠れたコンテキスト
システムプロンプト、参照ファイル、それまでの会話、拾ってきた断片。どれも毎回トークンを使っています。
カスケード
安くて速いモデルを先に動かし、確信の持てないケースだけを、より強いモデルや人に回すやり方です。コストは抑えられますが、正答率が上がるのは、2段目が1段目とは違う間違い方をするときだけです。
完成の定義
作業が始まる前に書く、仕上がった仕事についての短い記述のリストで、誰でも確かめられるものです。どの項目も結果について真か偽かが決まるので、「完了」は、終わったように見えることではなく、確認済みであることを意味します。
ガイド(フィードフォワード制御)
エージェントが動く前に進む方向を示す、ハーネスの制御です。指示、スタイルガイド、テンプレートなどがあります。最初の試みがうまくいく見込みを高めます。
クラウド環境
クラウドエージェントの実行が出発点にする、準備済みのセットアップです。チェックアウトしたコード、インストールした依存関係、ネットワークのルール、秘密情報が含まれます。実行はそれぞれ自分のコピーで作業するので、どの実行も同じ状態から始まります。
計算型の制御
テスト、リンター、スクリプトのような、ふつうのソフトウェアが動かすガイドやセンサーです。速くて安く、毎回同じ結果を返します。
継続的インテグレーション(CI)
提案された変更のすべてについて、マージの前に自動で動くビルドとテストです。ソフトウェアファクトリーでは、エージェントの変更が最初に通るべき確認で、緑の結果が信頼できるのは、その裏にあるテストが信頼できる範囲までです。
検証済みの成果
マージされ、デプロイされ、ロールバックも緊急修正も後追いの修正も要らなかった変更です。作られたプルリクエストや生成された行数ではなくこれを数えると、コーディングエージェントとの仕事が実際に何を届けたかが分かります。
検証のステージ
チェーンの最初に置くステージです。必要な項目がそろい、内容が妥当かを確かめます。問題があれば処理を止め、人に確認を求めます。
コスト
トークンを使うたびに、料金と待ち時間が増え、モデルが重要な情報に向けられる注意も薄まります。
コンパウンドエンジニアリング
Every社が紹介している働き方で、どの変更も次の変更を楽にするべきだと考えます。計画、作業、レビューのあとに4つ目のステップが来ます。学んだことをドキュメント、お手本、テスト、確認に変え、システムがいまならその問題を自分で捕まえられるかを問います。
合格条件
仕事が完了したと見なすために満たすべき条件で、作業を始める前に書きます。エージェントには、それぞれを実行できる確認にするのがいちばんです。テスト、コマンド、誰でも見られる結果のどれかにし、新しい動きを確かめる確認は、先に失敗することを確かめておきます。
ゴールドセット
自分の仕事から集めた実際の項目に、その仕事をよく知る人が正解のラベルを付けたものです。判断モデルを信頼する前に、これを基準に採点します。
再現テスト
報告されたバグが原因で落ちるように、誰かが直す前に書くテストです。タイプミスやセットアップの抜けではなく、ユーザーがバグを目にするのと同じ理由で落ちる必要があります。そうであれば、あとで通ったときに、修正が効いていると分かります。
再試行の上限
確認に失敗したあと、エージェントが何回までやり直せるかの上限です。たとえば、CIの実行2回までです。上限に達すると実行は止まり、ブランチは失敗した出力とともに人に渡ります。
採点役
試行が合格したかどうかを決めるものです。正確に確かめられることにはコード、判断の要ることには評価基準を持たせたモデル、あるいは人が務めます。モデルの採点役は、信頼する前に、人の判定と照らし合わせてください。
作業項目
トラッカーのissueのように、共有のキューに入った1つの仕事です。エージェントが引き受けると、その項目が指示のすべてになります。目指す結果、それを証明する確認、対象外のこと、問い合わせ先です。
参照ファイル
規程、スタイルガイド、用語集のような、動かない資料です。カスタムアシスタントに付けておくと、いつも同じ根拠で考えてくれます。
しきい値ゾーン
判断モデルの答えを、3つの結果に分ける2本の境界線です。3つとは、そのまま自動処理する、人が確認する、人にエスカレーションする、です。自分でラベルを付けた項目と、間違いごとのコストをもとに決めます。
試行
評価の中で、1つのタスクに1回挑むことです。エージェントは実行ごとに結果が変わるので、タスクごとに何回か試行し、どの試行もまっさらな状態から始めます。
指示書の構成
よい指示書に必要な要素のことです。役割、起動条件、入力、手順、出力形式、ガードレールで構成されます。
指示ファイル
エージェントが作業を始める前に読む、常設ルールを書いたファイルです。よく使われるファイル名はAGENTS.mdです。
シフトレフト
確認を、実行できるいちばん早い段階に移すことです。たとえば、リントをCIやレビューではなくプッシュのたびに動かします。そうすると、失敗は、直すのがいちばん安いところで見つかります。
シャドーモード
今のプロセスに主導権を残したまま、実際の仕事で判断モデルを動かすことです。両方の答えを記録して、あとで比べます。モデルの答えをもとに何かを実行することはありません。
出力の重さ
出力トークンの単価は、一般に入力トークンの3〜5倍です。長い回答を標準にすると、費用が急速に増えます。
仕様駆動開発
まず意図を仕様として書き、コーディングエージェントにそれをもとに作らせるやり方です。レベルの違いは、その後の仕様の扱いにあります。1つの変更のために使うか(spec-first)、機能とともに残すか(spec-anchored)、人が編集する唯一のファイルにするか(spec-as-source)です。
進捗ファイル
エージェントがセッションの始めに毎回読み、終わりに更新するファイルです。目標、ルール、何をしたか、次は何かの記録が入ります。隣に項目リストを置けば、新しいセッションでも、やり直しや抜けなしに長い作業を引き継げます。
信頼性表
モデルの答えを確率ごとにまとめ、それぞれのまとまりがどれくらい正解だったかを示す表です。自分のデータで、0.8が本当に約80%を意味するのかが分かります。
信頼できる入力
手前の工程で検証が済んでいる入力です。スキーマが効いているデータベースの行など。そのまま使って動けます。
準備完了の定義
誰かが手を付ける前に、作業項目に何が入っていなければならないかを、チームで合意したリストです。ファクトリーでは、どの項目がエージェントのキューに入れるかを決めます。それ以外の項目は、足りないものを示して起票者に差し戻します。
推論型の制御
書かれた指示やAIによるレビューのように、モデルの判断に頼るガイドやセンサーです。意味を判断できますが、遅く、費用がかさみ、実行ごとに結果がぶれることがあります。
成熟度の段階
共有ワークフローの成熟度を示す区分です。自己責任で試すもの、審査済みのおすすめ、保守されている公式のもの、といった段階があります。
設計の欠陥
ワークフローの組み立てそのものに原因がある失敗です。直し方は、ステージの切り方を変えるか、作り直すことです。
センサー(フィードバック制御)
エージェントが動いたあとに、その仕事を確かめるハーネスの制御です。テスト、リンクチェッカー、レビュー役のモデルなどがあり、エージェントが自分で直せるようにします。
全リポジトリにまたがる変更
依存関係の更新や設定の変更のように、同じ種類の変更を多くのリポジトリで行うことです。たいていはリポジトリごとに小さなプルリクエストを1件ずつ出します。その変更をマージするかどうかは、今もそれぞれのリポジトリの確認と責任者が決めます。
ソフトウェアファクトリー
多くのAIエージェントがキューから作業項目を取り出し、確認済みの変更に変えていく仕組みで、あなたが選んだ承認ポイントに人が立ちます。エージェントは1つのステップにすぎず、キュー、隔離された環境、確認、承認があるから、その変更を安全にマージできます。
タスクのロック
作業項目を確保した印です。たとえば、エージェントが始める前に共有のリポジトリにコミットする小さなファイルで、ほかのエージェントは別のものを選びます。ロックを長く持ちすぎたり、解放しなかったりすると、全員の作業が遅くなります。
使い捨ての環境
標準のセットアップから1つのタスクのために新しく作り、終わったら捨てる作業場所です。worktree、コンテナ、クラウドのサンドボックスなどがあります。必要なものはその中だけに置かないので、どの実行もやり直せます。
使えるかどうかと、正しいかどうか
使えるとは、後ろのステージが読み取れること。正しいとは、中身が合っていること。どちらも要ります。
使える出力1件あたりの費用
総額を、手直しが要らなかった出力の数で割った数字です。費用を見るなら、この感覚を持っておいてください。
継ぎ目(シーム)
情報が、ある人・チーム・システムから別のところへ渡る地点です。時間と品質が漏れるのは継ぎ目です。
継ぎ目マップ
業務の受け渡しを書き出した地図です。誰が渡し、誰が受け、何が落ち、どれだけ手間がかかり、どこにAIが入れるか。
作るときのルール
同じ作業を2回していると気づいたら、エージェントとして自動化するというルールです。3回目からはエージェントが実行します。
積み重ねたプルリクエスト
小さなプルリクエストを連ね、それぞれを1つ前のものの上に作るやり方です。大きな仕事を、それだけで完結した変更1つずつに分けてレビューできます。どれも、マージした時点でシステムが動く状態を保つ必要があります。
トリップワイヤー
エージェントSDKで、ガードレールの確認に失敗したときに出る信号です。実行が止まり、次にどうするかはあなたのコードが決めます。たとえば、この依頼は処理できないとユーザーに伝えます。
トレース
1回の実行を、スパンと呼ばれる、時間を測ったステップの木として記録したものです。根に実行があり、その下にモデル呼び出しとツール呼び出しが1つずつ並びます。時間とトークンがどこに使われたか、何が失敗したか、なぜ実行が止まったかが分かります。
ドキュメントの手入れ
定期的に行う実行で、エージェントが担うことが多いものです。リポジトリのドキュメントをコードと比べ、古くなったページごとにプルリクエストを作ります。エージェントが頼りにするドキュメントを、正しいまま保ちます。
能力評価
エージェントがまだ苦戦しているタスクの評価です。低い合格率から始まり、ハーネスへの変更が役に立つかどうかを示します。
ハーネスエンジニアリング
エージェントのモデルの周りにあるもの、つまり指示、ツール、確認、制限のすべてを設計し、改善することです。Mitchell Hashimotoの意味では、エージェントが間違えるたびにハーネスを変え、同じ間違いを二度とさせないようにする習慣を指します。
ハーネスの削減
ハーネスの部品を1つずつ外し、そのたびに同じ評価を実行し直して、まだ結果をよくしているものだけを残すことです。どのルールや確認も、モデルについての前提で、モデルは変わります。
破壊的変更
ライブラリやサービスの新しいバージョンでの変更のうち、古いバージョン向けに書いたコードを失敗させたり、違う振る舞いにさせたりするものです。関数の削除のように派手に壊れるものもあれば、デフォルトの変更のように静かなものもあり、静かなものを捕まえられるのは、振る舞いを固定したテストだけです。
バックプレッシャー
テスト、型チェッカー、セキュリティスキャナーのように、エージェントの悪い出力をはねる自動の確認です。エージェントは、変更を直さないと先に進めません。エージェントはその結果を待つので、速く保ってください。
パス別の指示
エージェントが一致するファイルで作業するときだけ効く指示ファイルです。applyToパターンを持つGitHub Copilotの.instructions.mdファイルや、globsを持つCursorのルールがその例です。
必須のステータスチェック
テストスイートのように、保護されたブランチにプルリクエストをマージする前に、通らなければならない確認です。テストを助言からゲートに変えます。
評価セット
何度でも実行できるタスクの集まりで、タスクごとに合格条件が付いています。変更の前と後で、エージェントとそのハーネスを採点できます。実際の失敗から育て、何かが起きてはいけないケースも入れます。
ファンアウト
1つの繰り返しの変更を、ファイルなどの項目ごとに1回のエージェントの実行に分け、同じプロンプトでスクリプトから始めることです。どの実行も、まっさらなコンテキストから始まります。まずいくつかの項目で試し、プロンプトを直してから、残りを項目ごとの確認つきで実行します。
変数を使ったテンプレート
本番用の指示書を、名前の付いた変数を持つテンプレートにすることです。内容を確認しやすくなり、版の管理や複製もできます。
ホールドアウトシナリオ
コードベースの外に置く、エンドツーエンドのユーザーストーリーです。ユーザーが目で確かめられることで、ソフトウェアを確かめます。エージェントは決してそれを見ないので、書き換えることも、それに通るだけのコードを書くこともできません。
保守の計画
担当者、その代わりの人、見直しの頻度、分かっている失敗のしかた、変更の試し方を書いた短い文書です。
本番で使える状態
実際の入力で試してあり、失敗のしかたとHITL gateが指示書に書かれ、文書があり、担当者がいて、ずれに気づけるよう記録が残るワークフローです。
ボイラープレート
書く必要はあるものの、新しい考えを含まないコードです。セットアップ、つなぎ込み、同じ形のテストの繰り返しなどです。説明しやすく確かめやすいので、コーディングエージェントに任せるのに向いた仕事です。
マージコンフリクト
2つのブランチが、同じファイルの同じ行を変えたときに起きることです。Gitは自分では組み合わせられないので、人かエージェントがどちらかを選ぶ必要があります。並列の作業を領域ごとに分けておくと、コンフリクトはめったに起きません。
まっさらなコンテキストでのレビュー
仕上がった仕事、その完成の定義、情報源は受け取るものの、それを生んだ会話や推論は受け取らないモデルによるレビューです。レビューするモデルは、ファイルを開いたり、確認を実行したりしてかまいません。
満足度(シナリオ)
StrongDMがホールドアウトシナリオに使う点数です。すべてのシナリオを通したすべての実行のうち、ユーザーを満足させそうなものの割合です。中にモデルを持つソフトウェアは毎回同じようには動かないので、1回きりの合格か不合格の代わりに使います。
網羅性
ハーネス設計で考えるべき要素の一つで、正しく動くために十分な材料をモデルへ渡すことです。材料が足りないと、モデルは推測で補ったり、存在しないAPIを作り出したりします。
目的の判定
エージェントの自己申告ではなく、実行結果で確かめられる停止条件です。たとえば、ビルドが通ることや、エンドポイントが200を返すことです。
モデルの限界
その作業をこなすには、AIがまだ当てにならない、という失敗です。直し方は、決定論的な処理で確かめるか、HITL gateを厳しくすることです。
唯一の情報源
ある事実が正式に置かれている1つの場所で、ほかのどの記述もそこを指し示します。コードベースでは、リポジトリの中でバージョン管理されたドキュメントが、アーキテクチャ、判断、ビジネスルールの唯一の情報源になりえます。
予算の上限
実行回数、トークン数、ツール呼び出し回数に厳しい上限を設ける停止条件です。
呼び出し箇所
コードの中で、ある関数が呼び出されている場所です。アップグレードや名前変更の前に、テストやスクリプトも含めてすべての呼び出し箇所を挙げると、変更の大きさと、確かめるべきものが分かります。
楽観的並行性制御
多くのエージェントが、ロックを使わずに状態を共有するやり方です。誰でも読めますが、読んだあとに状態が変わっていたら書き込みは失敗し、書き込んだ側は読み直してやり直します。
リバート確認
修正を取り除き、新しいテストを実行して、修正前と同じ理由でまた落ちるのを確かめ、それから修正を戻すことです。修正がなくても通るテストは修正を確かめておらず、バグが戻ってきても捕まえられません。
リプレイセット
過去の作業項目を決まった数だけ集めたリストで、それぞれに開始時点のコミットと、合格と見なす結果が付いています。変更を出す前に、今のシステムと変えたシステムの両方をこれで実行し、1項目ずつ比べます。
ルールセット
リポジトリのブランチにかける、名前の付いたルールのまとまりです。何かをマージする前に、プルリクエスト、通った確認、承認を求めるといったルールがあります。エージェントの変更も、ほかの人の変更と同じようにこれに従います。
ワークフロー
モデルとツールが、前もって決めておいた手順に従って動く仕組みです。エージェントより単純で安く、テストもしやすいので、手順が分かっているときは、いつでもこちらを使います。

リスクと安全

Adversarial testing
難しい入力、矛盾した入力、不完全な入力、悪意のある入力を意図的に与え、エージェントがどこで失敗するかを探すテストです。
Adversarial verification
作る役と評価する役を分ける検証方法です。一方が成果物を作り、もう一方が誤りを見つける立場で厳しく検証し、検証を通ったものだけを公開します。
Agents Rule of Two
プロンプトインジェクションに対するMetaの設計ルールです。1つのセッションの中で、エージェントが持ってよいのは、信頼できない入力、機密のシステムや非公開のデータへのアクセス、状態を変えたり外部とやり取りしたりする力のうち、2つまでです。3つすべてを持つなら、人か、別の信頼できる確認が必要です。
AI slop
十分な手直しや検証をせずに量産された、質の低いAI文章や画像のことです。適切なプロンプティングと見直しで減らせます。
Audit logs
MCPのツール呼び出しについて、時刻、呼び出し元、権限、結果を残した記録です。AIが何をしたかをあとから確認できます。
Blast radius
問題が起きたときに、そのエージェントが影響を及ぼせるシステムの範囲です。外部システムに接続するエージェントほど、厳しいゲートが必要です。
Confidence calibration
AI自身に、答えの確信度(高・中・低)と理由を付けさせることです。どの出力を人が見るべきかが分かります。
Deny rule
モデルが何を決めても、ツール、コマンド、パスをブロックする権限ルールです。Claude CodeのRead(./.env)がその例です。denyルールは最初に確かめられるので、allowルールで例外を作ることはできません。
Drift
入力の傾向が変わって、モデルの出力がじわじわ悪くなっていくことです。音もなく進み、たくさんの出力を並べて初めて見えます。
Drift (loop)
ループの失敗の一つで、エージェントが目的を忘れ、目の前の小さな作業ばかり改善し始める状態です。コンテキストの終わり近くで目的を改めて示すと防ぎやすくなります。
Guardrails
危ないことをAIにさせないための、ルールと確認です。
Hallucination
アシスタントが、誤ったことを自信たっぷりに言い切ることです。ひと手間かけて確かめる価値はいつもあります。
HITL gate
エージェントが操作を実行する前に、人が内容を確認する関門です。取り消せない操作や、確信度の低い出力には必ず設けます。
Human-in-the-loop (HITL)
何かを実行する前に、人がAIの出力を見て承認する形です。規制のかかる工程、取り消せない工程、影響の大きい工程では欠かせません。
Jailbreak
AIの安全対策であるガードレールをすり抜けようとするプロンプトです。ガードレールは利用者と周囲を守るためのものなので、試してはいけません。
Lethal trifecta
非公開データにアクセスでき、信頼できないコンテンツを目にし、データを外へ送れるエージェントを指す、Simon Willisonの呼び名です。3つがそろうと、攻撃者はエージェントをだまして、データを漏らさせることができます。少なくとも1つは取り除いてください。
Prompt injection
AIが読む文章の中に悪意ある指示を隠して、動きを乗っ取ろうとする攻撃です。
Push protection
パスワード、キー、トークンを含むプッシュを、リポジトリに届く前にブロックするGitHubの確認です。あとから警告するのではありません。
Revocation
使わなくなったワークフローのMCP接続から、権限を外すことです。眠ったままの接続をためないためです。
Scopes
MCPサーバーが操作ごとに出している権限です。read_employeesとupdate_employeeは別物として扱えます。渡すのは最小限だけにしてください。
Slopsquatting
AIモデルがでっち上げがちなパッケージ名を登録し、モデルの提案どおりに書いたコードが、攻撃者のパッケージをインストールするよう仕向けることです。名前は、つづりを間違えたパッケージ名を攻撃者が登録するタイポスクワッティングから来ています。
Workspace trust
リポジトリにコミットされたフックのような、フォルダー独自の設定を使う前に、コーディングエージェントが行う確認です。そのフォルダーを信頼するかどうかを尋ねます。スクリプトからの実行では、この問いを飛ばして、フォルダーを信頼済みとして扱うことがあります。
入れ替えテスト
名前や場所など、結果に関係ないはずの細部を1つだけ変えて、同じ項目をもう一度実行するテストです。答えがふだんのぶれ以上に動いたら、その判断はその細部を材料にしています。
エージェントの手抜き
長く、いくつもの部分がある仕事の途中でエージェントが止まり、仕事全体が終わったと報告することです。止まる前に必ず実行させる確認で防ぎます。
エスカレーションの経路
問題のあるケースを誰に回すかを定めた経路です。誰に、どの手段で、どんな情報を添えて知らせるかを決めます。HITLゲートには必ず必要です。
確信度の下限
確信度がこの値を下回ったら、エージェントは実行せず、人に判断を求めるという基準です。
隠れたUnicode文字
ゼロ幅接合子や双方向テキストの制御文字のように、目に見える幅を持たない文字です。人が読んでも見えないのに、モデルは読む指示を、ファイルの中に隠せます。
必ずHITLにする操作
必ず人の承認が必要なものです。お金、健康、安全、契約、法的条件、行政への提出、法的地位に関わる操作が該当します。
間接プロンプトインジェクション
ユーザーが入力したものではなく、エージェントが読むコンテンツの中に入って届くプロンプトインジェクションです。Webページ、メール、共有ファイル、ツールの結果などに潜んでいます。
監督
操作が実行される前に人が1つずつ承認することで、エージェントを安全に保つやり方です。その人が注意を払い、何を承認しているかを分かっているあいだしか働かないので、誰も見ていないあいだに走る仕事には、封じ込めが必要です。
強制される制御
モデルが何を決めても、ツールが適用する制限です。権限ルール、フック、サンドボックス、接続していないアプリなどがあります。指示と違って、モデルが読み飛ばすことはできません。
最小権限
エージェント、人、プログラムに、そのタスクに必要なアクセスだけを与え、タスクより長く残るものは与えないことです。無人で動くエージェントなら、1つのリポジトリ、少数のツール、実行とともに期限が切れる認証情報ということです。
先走り
あなたが頼んだ範囲や、承認するであろう範囲を超えて、エージェントが親切そうな一手を打つことです。見つけた認証情報を使ってしまう、といった例があります。ツールが強制する制御で抑えます。
承認疲れ
承認リクエストがあまりに多く、人がそれを読まなくなることです。承認そのものは続いても、もう確認として働いていません。求める回数を減らし、何が起きるかを正確に示し、決まりきった作業は封じ込めます。
自己選好バイアス
自分の仕事を確かめたり採点したりするよう頼まれたとき、エージェントが甘く評価しがちな傾向です。その仕事をしていないレビュアーを置いて防ぎます。
自信たっぷりに間違える
もっともらしく聞こえるのに、細かいところが間違っている答えです。口調は、正しい答えとまったく同じです。
自動化バイアス
自動化されたシステムの出力に頼ってしまう、あるいは頼りすぎてしまう傾向です。EU AI法も名指しで取り上げています。人が答えを覆した割合がほぼゼロなら、それは警告サインの1つです。
自動停止
抜き取りで測った正確さが決めたしきい値を下回ったら、エージェントを止めるブレーカーです。人が戻すまで動きません。
スイスチーズモデル
安全工学から来たたとえです。どの確認の層にも穴がありますが、穴の位置が違う層を重ねれば、すり抜ける間違いはわずかになります。1つの確認ですべてを捕まえることはできないので、いくつも重ねます。
絶対のルール
口座情報、認証情報、公的な身分証の番号、そして他人から預かった情報は、汎用のAIツールに絶対に貼らないでください。
操作のリスクレベル
エージェントができる操作1つに付ける、低・中・高のレベルです。書き込むか、元に戻せるか、誰のアクセス権を使うか、お金が絡むか、の4つの問いで決めます。レベルごとに、allow、ask、denyのどれかに対応させます。
データの扱い方
AIを使うときに、外に出せない情報をどう扱うかの習慣です。機微なデータは、自分の管理外のツールに貼らず、いまある場所に置いたままにします。
データの持ち出し
持つべきでない誰かに、データを外へ送ることです。エージェントの場合、外と通信する手段なら何でもデータを運べます。メール、メッセージ、Webリクエスト、さらにはリンクや画像のアドレスもそうです。
止まり方を間違える
ループの失敗の一つです。早々に切り上げるか、いつまでも止まらないかです。終わりの判定をはっきり書けば直ります。
認証情報プロキシ
エージェントのサンドボックスの外にあって本物のキーを持ち、許可したドメインへの外向きのリクエストにそれを加えるサービスです。サンドボックスの中のコードが目にするのはプレースホルダーだけなので、乗っ取られた実行には盗めるキーがありません。
抜き取り確認
ワークフローの出力の一部(たとえば10%)を抜き出して、自分の目で確かめることです。
ネットワークの許可リスト
エージェントの実行が接続してよいホストのリストで、パッケージレジストリなどが入ります。それ以外はすべてブロックされるので、混乱したり操られたりしたエージェントがデータを送れる先が限られます。
パッケージのハルシネーション
モデルが提案する、実在しないソフトウェアパッケージです。でっち上げられた名前は誰でも登録でき、有害なコードを詰め込めます。だから、新しいパッケージは、残す前に必ず確かめます。
封じ込め
エージェントが何を決めても、届く範囲を制限することです。サンドボックス、ネットワークをオフにするか許可リストに限ること、認証情報を手の届かないところに置くことがあります。誰も見ていないときにも効き続ける点が、承認とは違います。
報酬ハッキング
確認が証明するはずだったことをせずに、確認を通ることです。失敗しているテストを削除したり、テストの入力でしか動かないコードを書いたりします。確認は編集できないように守り、エージェントから見えない確認もいくつか残しておきます。
前に進まない
エージェントが、失敗する同じ操作を繰り返して前に進めない状態です。試したことを記録し、再試行の回数に上限を設けて防ぎます。
レッドチーミング
攻撃者の目的を持って行う敵対的なテストです。データを漏らさせようとするなどして、自分の実際のセットアップをわざと攻撃し、どの防御が持ちこたえるかを確かめます。エージェントの場合は、エージェントが読むものに無害な指示を仕込むことがよくあります。

ツールとアシスタント

AI agent
繰り返しの仕事を自動で進める、保存された指示書です。スケジュール、利用者からの指示、特定の出来事のいずれかをきっかけに動き始めます。
AIによるコードレビュー
AIモデルによる、プルリクエストや差分のレビューです。その指摘は承認ではなく、コードと照らして確かめるべき手がかりで、テストや人によるレビューの代わりにはなりません。
AIアシスタント
単体で使うチャットのツールです(ChatGPT、Gemini、Claude、Grok)。こちらが聞いてから答える、受け身の道具です。
Approval policy
Codexで、エージェントがサンドボックスの外に出る前に、いつ止まって承認を求めるかを決める設定です。on-requestやneverなどがあります。コマンドが技術的に何をできるかは、サンドボックスのモードが決めます。
Artifacts
コード、文書、スライド、動く成果物を、横のパネルで編集できる形で出すClaudeの機能です。
ChatGPT
OpenAIのアシスタントです。chatgpt.comで無料でも利用できます。幅広い用途に対応し、大規模な利用者コミュニティがあります。
Claude
Anthropicのアシスタントです。claude.aiで無料でも利用できます。長文の作成、大量の資料の読み込み、複雑な推論に強みがあります。
Claude Projects
参考資料を置いておけるClaudeのワークスペースです。どの会話でも、その資料を踏まえた状態から始まります。
Co-pilot
ツールの中で、こちらの作業に並走するAIです。その場で提案してくれますが、主導権はこちらに残ります。
Connectors
利用者の許可を得て、ClaudeをGoogle Drive、Gmail、Slack、GitHub、Linearなどにつなぐ連携機能です。
Custom GPTs
一度設定すれば何度でも使えるChatGPTの保存型アシスタントです。
Deep Research
複数の情報源をまたいでまとまった調べものを進め、出典付きのレポートを返すモードです。
Gemini
Googleのアシスタントです。gemini.google.comで無料でも利用できます。大量の情報、複数形式の情報、画像を含む作業に強く、Google Workspace内でも利用できます。
Gems
一度設定すれば何度でも使えるGeminiの保存型アシスタントです。
Grok
xAIのアシスタントです。grok.comで無料でも利用できます。Xや最新のウェブ情報に接続でき、現在起きている出来事を扱うことに強みがあります。
Permission mode
どの操作をあなたに確かめずに実行するかを決める、コーディングエージェントの設定です。読み取りだけから、すべての操作までがあります。その上に権限ルールが重なり、denyルールはどのモードでもブロックします。
Plan mode
コーディングエージェントのモードの1つで、エージェントはコードを読んで計画を提案しますが、あなたが承認するまで何も変えません。何をするかを考えることと、実際にすることを分けておけます。
Plugin
スキル、フック、サーバーへの接続など、エージェントのセットアップの部品をいくつかまとめてインストールするパッケージです。プラグインはあなた自身の権限でコードを実行できるので、インストールする前に中身を読んでください。
アプリ内蔵のアシスタント
GmailやNotion、Wordのように、いつも使っているアプリの中にあるAIです。いま開いているページに対して働きます。
業務ツール上のエージェント
Notionのような業務ツールの中で動き、そのページやデータベースを読み書きするエージェントです。
クラウドエージェント
自分のマシンではなく、提供元のマシンで動くコーディングエージェントです。タスクを渡すと、専用の準備済みの環境で作業し、人がレビューするためのブランチかプルリクエストを返します。
自動化プラットフォーム
ZapierやMakeのように、コードを書かずに、アプリ間でデータを決まった時間に受け渡せるツールです。
チェックポイント(ファイルのスナップショット)
エージェントが編集する前に、コーディングツールがファイルを写し取っておくスナップショットです。これがあれば、直前のいくつかのステップを巻き戻せます。1つの会話の中ですばやく立て直すためのもので、シェルのコマンドによる変更を拾わないツールもあるので、gitにもコミットしておきます。
プロジェクトの指示
ChatGPTやClaudeのプロジェクトに一度設定する常設の指示です。プロジェクトの中のチャットはどれも、プロジェクトのファイルとともにこれを受け取ります。それでも、モデルが読み飛ばすかもしれない依頼であることに変わりはありません。
保存できるアシスタント
一度設定して、何度でも再利用できるカスタムアシスタントです。Custom GPT、Gem、Claude Projectなどが該当します。

AIと働く

100倍の発想
AIによって仕事の速さや費用が100倍規模で変わると、実現できること自体も変わるという発想です。数か月の仕事が数日、数日の仕事が数時間になる可能性を考えます。
80%ルール
まずは何でもAIアシスタントから始めてください。アプリの中のAIは便利な近道で、使わなくてもかまいません。
AI-pilled
AIの便利さにすっかり納得し、さまざまな場面で使いたくなった状態です。多くの場合、半ば冗談として使われる表現です。
AIを使いこなす力
AIと一緒に働き、その上に作り、AIと並んで考える力です。この10年でいちばんリターンの大きいスキルです。
WIP制限
始めたものの、まだマージされていないタスクの数の上限です。並列のコーディングエージェントでは、始められるエージェントの数ではなく、レビューしてマージまで進められる変更の数で決め、新しく始める前に、待っているものをレビューします。
いまは誰でも作れる
AIでワークフローを作った人は、肩書きが何であれ作り手です。
エージェント可読性
エージェントが必要とする知識が、動いているあいだに開ける場所にあるかどうかです。会議やチャットのスレッド、誰かの頭の中にしかない決定は読めない状態で、エージェントにとっては存在しないのと同じです。
お手本
新しいエンドポイントやテストのような型について、手本として名指しする既存のコード1つです。コーディングエージェントは見つけたものをまねるので、いちばんよい例を名指しすれば、何をまねるかを方向づけられます。
監督のパラドックス
AIエージェントを監督するには、エージェントに頼ることで衰えうる技能そのものが要る、という問題です。Anthropicは自社のエンジニアについての研究で、この言葉をコーディングに当てはめています。エージェントのコードを確かめるにはコーディングの技能が要りますが、エージェントがコードを書くようになると、その技能を使う機会は減ります。
技能の衰え
ツールが仕事をするようになって練習しなくなった技能を、失っていくことです。コーディングエージェントでは、いちばんの心配はデバッグです。ある実験ではデバッグの差がいちばん大きく、エージェントが返してきたものを確かめるのに必要なのも、この技能です。
グッドハートの法則
ある数字は、人がそれで評価されるようになると、よい指標ではなくなるという見方です。作られたプルリクエストの数を目標にすれば、価値があるかどうかに関係なく、プルリクエストが増えます。
仕事は消すもの
AIには、仕事のかたまりごと消してもらう、という考え方です。速くするのではなく、なくします。
自律の5つのレベル
チームがコーディングのどれだけをAIに任せるかを表した、Dan Shapiroのモデルです。人がすべての行を書くレベル0から、ダークファクトリーのレベル5まであります。1人の人が作ったモデルで、共通の言葉として役に立ちます。1つのチームが同時に複数のレベルにいることもあります。
ダークファクトリー
Dan Shapiroの自律の5つのレベルのいちばん上です。仕様を入れるとソフトウェアが出てきて、コードを書く人もレビューする人もいません。人が働かず、すべてをロボットが動かす工場にちなんだ名前です。
突き合わせ(クロスチェック)
大事な質問は、2つのツールに通して答えを見比べます。そろえば自信を持って進めます。食い違えば、調べる価値のある場所が見つかります。
トリアージ
入ってくる仕事を、それぞれ正しい行き先に送るよう仕分けることです。ファクトリーでは、各項目をエージェントか人に回すか、起票者に差し戻し、どの判断にも理由と確信度を記録します。
引き継ぎメモ
新しいセッションに仕事を引き継がせるための短いメモです。元の言葉のままの目標、守るべきルール、終わったこととその確かめ方、次にすること、うまくいかなかったことを書きます。
まずAIで考える
新しい作業に入る前に、30秒だけ「AIならどう手伝えるか」を考える習慣です。手で片づけるのは、そのあとです。
学び方を学び直す
積み上げた専門性が自動化されていくなかで、学び続けるためのメタスキルです。ここが新しい強みになります。
理解の負債
チームが本番に出したコードの量と、チームの誰かが理解しているコードの量との間で、広がっていく差です。テストが通ったまま静かに積み上がり、何かが壊れたときに表に出ます。認知の負債とも呼ばれます。